iPS細胞豆知識

目次

Vol.3 iPS細胞の研究は、いまどんな状況?

「オクトーバーラン2018」「オクトーバーウォーク2018」に参加の皆様、こんにちは。
iPS細胞研究所の渡邉です。

前回は、iPS細胞を「再生医療」と「薬の開発」に役立てることをめざしている、ということをお伝えしました。

今回は、「具体的な研究の状況」をお伝えします。

iPS細胞技術を応用した再生医療では、加齢黄斑変性という、日本人の失明原因の上位に来る病気で、臨床研究(人で安全性や有効性を調べる研究)が行われています。

また、2018年には、iPS細胞を用いたパーキンソン病の治療を目指した治験が、京都大学医学部附属病院で開始されました。

他にも、血液疾患、心臓病、脊髄損傷など、様々な病気で、治験や臨床研究の準備が進められています。

研究の様子

薬の開発においては、進行性骨化性線維異形成症(FOP)という非常にまれな難病で、治験が進められています。
FOPの患者さんから作ったiPS細胞を用いて、薬の候補物質を見つけました。

既に、150種類以上の病気で、患者さんからiPS細胞が作られています。
今後、多くの研究者や製薬企業がこれらを活用し、薬の開発が進むことが期待されます。

Vol.2 iPS細胞って、何の役に立つの…?

「オクトーバーラン2018」「オクトーバーウォーク2018」に参加の皆様、こんにちは。
iPS細胞研究所の渡邉です。

先週から始まったこの連載。
第2回は、「iPS細胞が何の役に立つか?」をお伝えします。

前回は、iPS細胞から、「様々な細胞を大量につくれる」ことをお伝えしました。
私たちはこの特性を活用し、「再生医療」と「薬の開発」といった医療への応用をめざしています。

iPS細胞

再生医療とは、細胞などを移植することで病気やケガを治療しよう、という医療です。

すでに、ヒトの体の細胞を利用した再生医療は実用化されていますが、iPS細胞技術の応用によって、必要な細胞を十分な量作製し、移植することで患者さんを治療できるようになると期待されています。

もう1つの「薬の開発」では、iPS細胞は縁の下の力持ちです。

患者さんの血液などの細胞からiPS細胞を作り、それから患部の細胞を作ります。

すると、患者さんの体内での病気の様子を再現することができます。
これを、薬の開発のツールとして使おうという試みです。

病気になっている細胞がたくさん手に入れば、病気の原因を探ったり、薬の候補となるさまざまな物質をふりかけて、どの物質がその細胞の状態を改善するか、ふるいにかけることができるわけです。

iPS細胞研究所には、多くの患者さんから新しい治療法を待つ切実な声が日々届いています。

次回は、具体的な研究の状況について、お伝えしたいと思います。

Vol.1 そもそも、iPS細胞って何なの…?

はじめまして、京都大学iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)の渡邉です。
「オクトーバーラン2018」「オクトーバーウォーク2018」はiPS細胞研究基金に対するチャリティとして実施されます。心から、御礼申し上げます。

これから4回の連載で、iPS細胞研究について、お伝えして参ります!

初回は、「そもそもiPS細胞とは?」
結論から申しますと、iPS細胞は、「ほぼ無限に増え、体の様々な細胞に変化できる細胞」です。

iPS細胞

iPS細胞は、皮膚や血液などの体の細胞に数種類の因子(遺伝子など)を細胞に送り込むことで、全く違う、「受精卵に近い状態」の細胞へと変化させたものです。
iPS細胞は、CiRA所長でもある山中伸弥教授によって2006年に開発された、人工的な細胞です。

1つの細胞である受精卵は、どんどん分裂して数を増やしながら、神経・骨・筋肉・血液などそれぞれの役割をもった細胞に変化していきますよね。
これまでの研究によって、iPS細胞からも様々な細胞を大量につくれるようになってきているのです。

…では、「様々な細胞を大量につくれること」がはたして何の役に立つのか?
次回は、そんなことをお伝えしたいと思います。

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